2012年4月8日日曜日

慢性膀胱炎・間質性膀胱炎・膀胱頚部硬化症


排尿障害の症状 「膣の痒み」

ご紹介するのは、20歳代のご婦人です。
平成23年6月頃にクラミジア感染症で治療を受けました。その後、なぜか膣が痒くなり始めたのです。1日中膣が痒くて仕方がありません。地元の婦人科を受診して、検査を受けるのですが、クラミジアは治っている、カンジダ性膣炎でもありませんでした。
インターネットで検索して、性行為感染症の治療でも有名?な高橋クリニックが見つかり、私のクリニックに来院されました。
患者さんのこの経緯をお聞きして、私は排尿障害がイメージしました。早速、超音波エコー検査と尿流量測定検査(ウロフロメトリー)を実施しました。
膀胱出口が膀胱側に突出しています。
膀胱括約筋は膀胱出口の方向とは異なる方角に向いています。膀胱三角部も肥厚しており、一般的に頻尿の患者さんの所見です。しかし、この患者さんの排尿回数は1日6回で頻尿はありません。所見と症状が一致しない場合、膀胱三角部で作られる情報は、違う形で表現されることになります。恐らく、それが膣の痒みとなってこの患者さんを苦しめているのでしょう。

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子宮頚癌・広汎子宮全摘手術の後遺症:神経因性膀胱の治療

様々な手術で、たまたま膀胱に関した神経を損傷すると「神経因性膀胱」という病態になり、自力で排尿するのが困難になります。
一般的に、神経因性膀胱は治らない病気ですから、一生、自己導尿の指導を受けます。しかし、神経因性膀胱そのものは治すことはできませんが、治療により健常者と同じように振る舞えることは可能です。
今回ご紹介する患者さんも、子宮頚癌の手術(広汎子宮全摘術)で膀胱の神経を損傷されて排尿障害を訴えた患者さんです。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

こんにちは。
11月30日に手術を受けた〇〇〇〇市の〇〇〇〇です。
経過報告を兼ねてメールさせていただきました。

その後、とても順調です!!!
2回目のカテーテルを抜いたあと3日ぐらい出血がありましたがそれ以降はなくて、おしっこは勢いよく出る時と、出にくい時がありましたが、最近になってだいぶ安定してきました。
一時かなりあった尿漏れも、今は溜まっているときにちょっと、ぐらいになり、このままいけばなくなりそうです。
おしっこはトイレに座ってから少し時間が経って出てくる感じです。「うんちをするときの感じで」という先生の言葉を思い出して、少し前傾すると出てきて、そのあとはけっこう勢いよく出る時もあります。
朝いちばんはやはりたくさん溜まっているせいか、少し出にくい感じですが、昼間調子いいときはじゃ~っと出て、これまでの人生で未体験の快感(笑)です。
おしっこが普通に出てくれるのって、本当に有難いなぁ・・・と痛感しています。

尿意も少し戻ってきたみたいです。
朝、トイレに行きたくて目が覚めるようになりました(夜中にトイレで起きることはほとんどありません)。日中は相変わらず時計を見て2時間おきぐらいにトイレに行ってますが、1時間半を超えると「溜まってきた」感があり、少し漏れやすくなります。

とにかく、日常生活で「おしっこ」のことをいつも考えている状態(考えざるを得ない状態)から解放されて幸せです!
手術前から考えると、もう本当に雲泥の差です。あの頃は、おしっこしてトイレから出てくる頃には、エネルギーを使い果たしてぐったり疲れてしまってました。
外出時のトイレでは、前傾したりあれこれやっている間にセンサーが作動し、何回も水が流れてしまい(電気が消えて真っ暗になっちゃったこともあります)、そうじゃなくてもえらい時間がかかっているので、外で待っていた人ににらまれたり、すごく長い列ができていたり・・・・そんなこんなでトイレに行くのが怖くなってました。

じつは、手術前のウロフロメトリのときは、あの頃にしてはとても状態がよかったので、「こんなにおしっこがちゃんと出ていると、普段の状態を把握してもらえないかも・・・」と思ったのを覚えています。検査の前日から比べると、たぶん1.5倍ぐらいの勢いで、時間もかなり短めでした。
結果を見た先生に「これは、かーなーりー(強調、笑)ひどいよー」と言われ、ええっ??これでもそうなんだ・・・とびっくりしました。
あのまま先生に出会うことなく、別の泌尿器科に行っても「これはもうしょうがないですね」とか言われて、排尿障害が進んでいってたら、と思うとぞっとします。

それから更年期の症状は大豆イソフラボンでばっちり収まってきました!
おしっこがどんどん出なくなって、頭痛・のぼせ・倦怠感・不眠etcが一挙に出てきたころが悪夢のようで、今ではたまに、あれ?ちょっとのぼせてる?と思う程度になりました。

先生には時間外に2回も処置していただき、深く感謝しています。
特に二回目は、もしかしたら落ち着いて何回かトライすれば大丈夫だったかもしれないのに、私がパニックになっちゃっていたのが原因だったような気がします。
私にとって先生は救いの神さまですが、そのせいで大切な用事をつぶしてしまい、申し訳ありませんでした。

時間外の対応を含む患者のフォローもさることながら、医学界的にコンセンサスとしては未だ認められていない手術を敢行する勇気と覚悟、無料相談を常時受け付けて情報をオープンにしてシェアする姿勢、それを何でもない事のようにこなしちゃう先生、すごいです。痺れます。

なんだかすごく長くなってしまいました。
先生のおかげで、今年は私にとってこれまでで最高の年になりました。
本当にありがとうございます。

年明けに1か月検診に伺う予定です。
ではでは、よいお年をお迎えください。

〇〇〇〇

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

【考察】

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過活動膀胱治療薬剤「ベタニス」薬価収載になる!間質性膀胱炎の救世主になりうるか?

待ちに待った(本当に)ベタニスが9月16日(金)にやっと薬価収載されることになりました。 薬価は、25mgが1錠113円、50mgが...

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ベタニス(ミラベクロン)製造販売承認!

ついにβ3作動薬である「ベタニス錠」の製造販売が厚労省により承認されました。 アステラス製薬から発売されるβ3作動薬(刺激剤)は、膀...

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炎症性ポリープと膀胱癌

患者さんは日本に在住の20代の中国人女性です。
たまたま中国に里帰りした時に、頻尿・残尿感などの膀胱炎症状で上海の有名な病院を受診、内視鏡検査を実施したところ、膀胱出口に小さなポリープが発見されました。(診療情報参照)
主治医は、「前癌状態のポリープ」と診断し、平成22年10月入院内視鏡手術になりました。手術後、膀胱癌の予防にと抗癌剤を3カ月間に5回膀胱注入されました。患者さんの一番の訴えである頻尿はますます悪化し、1日20回、さらに夜間に3回もトイレで目が覚めるまでに悪化しました。
高橋クリニックを受診した頃には、頻尿の他に下腹部の痛みと緊張感、仙骨部の痛みが主な症状でした。

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大豆イソフラボンと残尿感

様々な治療を実施してもなかなか完全に治りきらないご婦人がいます。
この患者さんは1年前に乳癌手術を行い、手術後化学療法(抗癌剤)の治療を外来で受けています。ところが、この治療は女性ホルモンを完全に抑制するため、いろいろな副作用が出現しました。特に辛いのが動悸(患者さん曰く、心臓がバクバク言う)と全身のだるさです。その上に、高橋クリニックで治療したにもかかわらず、残尿感が治りきらないでいました。

ご婦人が、女性ホルモンを完全に抑制されると、ホルモン的には50代の女性が無理やり80代の女性にされるようなものです。乳癌を執刀した主治医に訴えるのですが、ただひたすら「我慢しなさい」の一点張りです。
仕方なく、膀胱の主治医である私に相談されました。

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一酸化窒素の効果は?

今年の12月頃に代替医療に関心を寄せている医師や医療関係者に講師として講演会に招待されています。
前回は前立腺癌についての常識と非常識についてお話しました。今回は、更年期とコレステロールと動脈硬化についてお話しするつもりです。原稿を書き進めているうちに、次第に動脈硬化の本質が分かり始めました。

右のグラフは、治療する前の患者さんの橈骨動脈の血圧脈波(左)とニトログリセリンを投与した後の血圧脈波を示すものです。
ニトログリセリンを投与すると、血管の脈波伝播速度が遅くなり、血圧脈波の形が改善されます。つまり、血管が拡張して軟らかくなったことを示します。

血管の内側にある内皮細胞が物理的刺激を受けると、アルギニンというアミノ酸と酸素を利用して一酸化窒素(NO)が作られます。
一酸化窒素は、内皮細胞に隣接する平滑筋に作用して、平滑筋内のカルシウムイオンの排泄を促して平滑筋を積極的にゆるめます。この作用によって血管の緊張はゆるみ拡張して、血圧は下がり血流は改善し心筋梗塞・狭心症など発作が軽減します。

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患者さんからのお便り

高橋先生、こんばんは。 先日薬を処方していただいた愛知県の〇〇〇〇です。 昨日 薬が届きました。 おかげさまで、頻尿、残尿感、痛みか...

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性器ヘルペスと勘違いされた痛み

患者さんは30歳代のご婦人です。
以前から陰部のピリピリした痛みが続くので、地元の医師に診てもらっていました。しかし診断と治療が二転三転するので心配になり高橋クリニックを訪れました。

患者さんの経過は次の通りです。
機会があり、とある男性と性交渉を持ちました。その後数日してから「オリモノ」の状態が変化したので、地元の婦人科を受診しました。カンジダ性膣炎あるいは細菌性膣炎を疑われ検査をしましたが特に異常は認めませんでした。
しかし、「オリモノ」の状態が思わしくないので、再度婦人科を受診しました。その際に器具を使って膣内を検査をしましたが、器具を外す時に膣の右下がはさまれてしまい、痛かったそうです。
その後、このはさまれた部分の痛みが取れずに、時々ピリピリ痛むのが続くので、段々心配になってきました。
血液検査も含めて、性器ヘルペス検査を行いましたが、異常は認めません。主治医は尖圭コンジローマの疑いがあると診断し、ベセルナクリームを処方しましたが、患者さんは、なお一層心配になり、高橋クリニックを訪れたのでした。

患者さんを実際に拝見すると、痛みのある部分にヘルペスなどの病的異常所見は認めません。また、尖圭コンジローマと診断された部分は膣前庭乳頭症で病気ではありません。生理的な現象です。ですからベセルナクリームをつけてはいけません。

では、この患者さんの痛み症状は、何が原因なのでしょう。
性行為感染症・性病とは、全く無関係の病気で間質性膀胱炎という病気があります。
その病気は頻尿症状の他に、下腹部痛や陰部の痛みが出ることがあります。患者さんの中には頻尿症状がなく、痛み症状だけに人もいます。この患者さんも恐らくそうだろうと考えて、まずは超音波エコー検査を行いました。
やはり異常がありました。膀胱出口が膀胱内に突出し、膀胱三角部が肥厚し、膀胱括約筋の走向異常も認めます。

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メール相談のお礼

謹啓 2010年7月・・日回答をいただきました。ありがとうございました。お礼が遅れてしまいました。 2010年7月・・日付「膀胱、尿...

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患者さんからのレポート#18

【手術リポート】

2010年5月14日に膀胱頚部硬化症の内視鏡手術をしていただき、4カ月あまりが過ぎました。

高橋クリニックを受診したのは平成21年3月。
その1年4ヵ月前に急性膀胱炎を発症して近所の泌尿器科を受診、抗生物質で頻尿、排尿痛の症状がほぼ治まったのですが下腹部の不快感がなかなか無くなりませんでした。また、膝から下がひどく冷えるようになりました。通院を続けてエコー検査や膀胱内視鏡検査を受けたのですが、軽い炎症が見られるが特に異常はないとの診断。 膀胱の緊張を和らげる薬と精神安定剤を処方されしばらくは服用しました。しかし一向に良くなる気配が見られないので通院も止めてしまいました。
これからは不快な思いで毎日を暮らしていかねばならないのか………と思いながらも近隣で良い病院はないかな?ネットで検索。
そして高橋クリニックのホームページを見つけました。遠距離から受診される方も多いことを知ってびっくりしましたし、クリニックが自宅から通院できる距離にあることに「良かった!」と思いながら受診を決めました。

初診時のエコーと尿の勢いの検査で「排尿障害」の診断を受け気持も安定しました。処方していただいたエブランチルカプセルの服用で排尿回数も減ってきたものの、しばらくして足の付け根の痛みや足の甲のピリピリ感が出てきました。下腹部の不快感も弱かったり強かったりと波がある日々の中、手術という選択肢を考えはじめました。 高橋先生からの積極的な手術の勧めはなかったのですが、熟考のすえ手術の希望をお伝えしたのです。手術による治癒率、改善率は70~80%とのことで、私が【治癒しない確率20~30%】の中に入る不安もありましたが手術しなければ治癒率はゼロです。

申し出から約1ヶ月後の5月半ば、手術日を迎えました。
付き添いで来てもらった夫は、手術が終わるまでクリニック外で過ごすこととなり初めての戸越界隈をぶらぶら散策してきたようです。

手術中は先生のおしゃべりと音楽が緊張をほぐしてくれました。
先生の「切開します」「止血します」には緊張してしまいましたが……。術中の耐えがたい痛みは殆どありませんでした。
昼過ぎから始った手術は無事終了。夕方には自力で歩けるようなりその晩は近くのホテルに一泊、翌朝一番でクリニックに出向きカテーテルをはずしていただいてから帰宅となりました。

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BOTOX治療の可能性

1千人以上の慢性前立腺炎や間質性膀胱炎の患者さんを診察・検査・診断・治療・経過観察するうちに、これら病気の病態が少しずつ分かってきました。
イラストで示すように、これら病気の本質は恐らく「膀胱頚部機能不全あるいは機能障害Bladder Neck Dysfunction)でしょう。つまり排尿の際に膀胱出口・膀胱頚部が十分に開かないことにあるのです。
十分に開かなければ、膀胱の収縮力と腹圧で無理に排尿することになります。無理に排尿すれば、膀胱出口・膀胱頚部は必要以上にブルブル振動します。
この振動が数年~十年単位で長期間にわたり繰り返し起きれば、膀胱出口・膀胱頚部は生体反応で硬化してきます。これが超音波エコー検査で診断できる「膀胱頚部硬化症Bladder Neck SclerosisあるいはBladder Neck Contraction)」です。
「硬化」して膀胱出口・膀胱頚部の柔軟性が欠如する訳ですから、尿の出が悪くなるのは当たり前です。これが「排尿障害」として自覚するのです。
膀胱出口・膀胱頚部の硬化は、膀胱三角部にも及びます。膀胱三角部は膀胱の感覚器=センサーとしての役目も担っていますから、硬くなればなるほど振動しやすくなり過敏になります。これが「頻尿・関連痛・自律神経症状」として自覚されるようになります。
また、膀胱出口・膀胱頚部の硬化は、排尿時の振動数を増やすようになります。振動数の増加=エネルギーの増加ですから、敏感になった膀胱三角部は振動エネルギーにますます被曝され、症状は増悪の一途です。

「排尿障害」「頻尿」「関連痛」「自律神経症状」などの症状の程度・組み合わせなどから、診察する医師の判断で患者さんを「慢性前立腺炎」「間質性膀胱炎」「過活動膀胱」「心因性頻尿」「神経因性膀胱」「前立腺肥大症」などと分類・診断されているのに違いありません。(もちろん、あくまでも私の仮説です。)

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高圧酸素カプセル

盛岡で他の会員の学会報告を聞いていた時に、高圧酸素治療で間質性膀胱炎が経過する症例を知りました。
高圧酸素治療の器械は、大病院でしか設置されていません。潜水病や脳梗塞の治療に利用されています。1千万以上もする器械ですが、一般的には利用できません。
そこで整骨院、カイロプラクティック、健康サロンなどに設置されている「酸素カプセル」にも効き目があるのではないかと思い、間質性膀胱炎や慢性前立腺炎症状で苦しんでいる患者さんに地元で試すように指示しました。
すると、半数くらいの患者さんに効果がありました。

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呼吸を介して停止する方法

間質性膀胱炎症状スコア

間質性膀胱炎や過活動膀胱、慢性膀胱炎の患者さんの症状を客観的に判断したり、治療経過の症状の比較するのに、完璧に表現できる問診表はありません。
しかし、間質性膀胱炎症状で苦しんでいる患者さんの症状を客観的にカルテに記載しない訳にはいきません。
頭脳明晰な専門の医師たちが、あれやこれやと議論して作成した割には、今ひとつの感がします。

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最近の間質性膀胱炎事情 学会報告から

平成22年4月27日(火)~29(木)に岩手県盛岡市で開催された第98回日本泌尿器科学会に参加・発表してきました。
発表が無事に終わって翌日の午前のセッションで「間質性膀胱炎」があったので拝聴してきました。

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初めてのご婦人の膀胱頚部硬化症内視鏡手術

私が初めてご婦人の膀胱頚部硬化症手術を着手したのは、平成15年7月8日です。患者さんは23歳の若いご婦人でした。
この患者さんは平成14年6月に初めて診察しました。当時22歳です。
3年前の19歳の頃から頻尿で、来院時は1日21回、夜間は起きませんが、就寝前に4回ほどトイレに行きたくなります。1回の排尿量は40ml~240ml、平均で120mlです。
それまでに泌尿器科開業医を2軒、大学病院婦人科を1軒、ウィメンズ・クリニックを1軒受診し、治療を受けていますが、一向に治りません。当時であれば間質性膀胱炎か神経性頻尿と診断されたのでしょう。「過活動膀胱」という病名は一般的ではありませんでした。
当時の私の診断能力も大したことがなく、超音波エコー検査で膀胱粘膜の浮腫らしき状態を確認した程度でした。

【補足】
過去のデータを現在の私の能力で解析すると、右の注釈のようになります。
今から見れば、明らかに膀胱頚部硬化症です。膀胱三角部が肥厚している訳ですから、頻尿があって当たり前です。その原因は膀胱出口の硬化にあります。しかし、この解析ができるようになったのは、平成19年8月の3D超音波エコー検査を導入し、さらに1年半以上経過した平成21年になってからです。3D画像から2D画像を比較検討した結果、解析できるようになったので、この時点では無理でした。

平成14年7月に仙骨神経ブロックで内視鏡検査を行い、膀胱三角部に血管増生(慢性膀胱炎の所見)と白苔変性(慢性膀胱炎の所見)を認め、さらに肉柱形成(この時点で排尿障害を疑わなければ・・・)が観察できました。
膀胱容量が少ないので、間質性膀胱炎の治療である膀胱水圧拡張術を行い(今では否定的に考えている膀胱水圧拡張術でしたが、当時は私も頻繁に実施していました・・・)、膀胱を600mlまで拡張しました。

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「間質性膀胱炎・過活動膀胱・慢性膀胱炎」に誤解されたご婦人の膀胱頚部硬化症50例

男性の慢性前立腺炎のブログの中で紹介しているように、原発性膀胱頚部硬化症による排尿障害が慢性前立腺炎の原因だと私は論じています。ご婦人の間質性膀胱炎・慢性膀胱炎・過活動膀胱・心因性頻尿・神経因性膀胱も全く同じ原因だと私は信じています。
そこで、ここに実例を挙げて解説したいと思います。目標50例です。2年後の平成24年4月の泌尿器科学会の報告までに間に合えばよいのですが・・・どのようなことになりますか・・・。リアルタイムで掲載していきます。

【1】
患者番号24303 50歳のご婦人です。
25年前から年に2回膀胱炎を繰り返す、その都度、1ヵ月くらい残尿感と尿道口のジクジク感が残ります。
1年前くらいから、1日20回以上の頻尿で苦しんでいます。地元の泌尿器科での診断は「過活動膀胱」でした。そのご婦人の2D超音波エコー検査の所見です。

超音波エコー検査所見に注釈を付けました。
ご婦人の場合、男性に比較して膀胱括約筋の肥厚は目立ちません。その分、膀胱三角部は厚く肥厚して見えます。膀胱出口は明確に見えていて、硬化像も伴っています。
膀胱出口・括約筋間距離は8.7mmと男性患者さんと比較すると短い方ですが、5mmを超えていて異常です。ご婦人の場合、前立腺という臓器がないので、男性ほどには膀胱出口・括約筋間距離が長くなりません。前立腺の存在は、必要以上に膀胱出口・括約筋間距離を過大に表現してくれます。

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膀胱頚部硬化症の内服薬による治療効果

間質性膀胱炎や慢性膀胱炎・過活動膀胱の原因と信じている(私だけ?)膀胱頚部硬化症は、超音波エコー検査で容易に観察できます。
この写真は、20代後半のご婦人の超音波エコー検査所見です。
初診の4か月前から恥骨の上がムズムズして気分が悪くなりました。婦人科を受診しても「気のせい」と診断されます。不思議なことに生理中にはムズムズ感が消えるのです。中学生頃(15年前)から排尿した後に、尿道にムズムズ感があったのですが、誰にも言わずに過ごしてきました。しかし、4カ月間恥骨のムズムズ感が消えないので高橋クリニックの診察に来院されました。
この写真は膀胱出口を中心に側面から観察した写真です。黒く見えるのが膀胱にたまった尿です。写真の上がおなか側で下が背中側になります。特徴的なのは膀胱出口が膀胱側に山のようにせり出していることです。

上の写真では、超音波エコー検査を読まない泌尿器科医にもおそらく分からないので注釈をつけました。
膀胱出口の山全体に硬化像が確認できます。膀胱括約筋も厚くなっています。

排尿障害を認めたので、患者さんの悩まれている症状は、膀胱頚部硬化症による膀胱刺激症状と診断し、α-ブロッカーであるエブランチルを処方しました。

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主要下部尿路症スコア(Core LUTS Score CLSS)

第11回TEUS(東京エキスパート泌尿器科セミナー)に11月16日(月)に参加しました。東京大学泌尿器科関連の勉強会らしいのですが、...

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原発性膀胱頚部硬化症と続発性膀胱頚部硬化症

慢性膀胱炎・間質性膀胱炎・過活動膀胱の原因である膀胱頚部硬化症は、内視鏡検査を実施しても残念ながらほとんど分からない(所見が得られない)のが現実です。(注:二次的変化は内視鏡検査で観察できるのですが、その所見を無視している医師がほとんどです)
しかし泌尿器科医のほとんどが、下部尿路(膀胱・尿道)の病気は内視鏡検査ですべて分かると誤解しています。また、ご婦人の場合は尿道の観察を省略して結論を出します。ですから、内視鏡検査で所見の得られない膀胱頚部硬化症は存在しないと・・・まぁ当然の結論でしょう。私も研修医の頃であれば、そう思っていました。しかし、泌尿器科医を30年も経験すると、異なる考えが頭の中に姿を現すのです。

内視鏡検査で容易に分かる膀胱頚部硬化症は、続発性膀胱頚部硬化症です。【続発性】というのは膀胱結石や膀胱腫瘍などの内視鏡手術の後遺症で、膀胱出口が線維化して狭窄した状態、つまり二次的=続発性の膀胱頚部硬化症を意味します。
続発性膀胱頚部硬化症は超音波エコー検査では分かりにくいのが盲点です。線維性の薄い膜状に狭くなった病変は、超音波エコー検査では観察できません。唯一観察できるのは内視鏡検査だけです。

私が慢性膀胱炎や間質性膀胱炎の原因としている膀胱頚部硬化症は、【原発性】の膀胱頚部硬化症です。過去に内視鏡手術などを行った経験のないご婦人で、線維性の狭窄や硬化ではなく、【粘膜の硬化】や【平滑筋の過形成】を意味します。続発性とは異なり、内視鏡検査では分かりませんが、詳細で丁寧な超音波エコー検査で容易に観察できます。

例えると、部屋の壁を観察する時と似ています。
壁の大きさや壁紙の模様は見れば容易に分かります。これが内視鏡検査です。
しかし、壁の厚さや中の柱の本数・補強材、石膏ボードや断熱材の有無は、見ただけでは分かりません。これを分かるように観察するのが、超音波エコー検査になります。内視鏡検査だけですべてが分かるというのは、単なる思い込みでしかないのです。何の根拠もない事柄です。

そこで、ご婦人の慢性膀胱炎や間質性膀胱炎・過活動膀胱の患者さんを中心に、次のブログで超音波エコー検査を提示しながら原発性膀胱頚部硬化症の存在を証明しようと思います。50例も実例を挙げれば、頭の固い泌尿器科医の中に一人くらいは理解していただける御仁が出現するかも知れません。

この内容は、慢性前立腺炎にも同様に掲載しました。

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間質性膀胱炎の症状 「足の冷え」

間質性膀胱炎の患者さんに多くみられる症状の一つに「足の冷え」というのがあります。
右の写真は、頻尿1日50回と陰部全体の持続性の痛みで、高橋クリニックを受診した50歳代の素敵なご婦人の治療後の足です。
エブランチルの投与で頻尿は50回→20回に、陰部の痛みは面積が10円玉くらいの大きさに改善しましたが、ビールを思う存分飲みたいということで、内視鏡手術を希望された患者さんです。
手術後症状は不安定であるにもかかわらず、頻尿は15回に、陰部の痛みは消失しました。治療前にはお聞きしていなかった、両足の裏に氷をベタッと貼りつけたような足の辛い冷えが、全く消失したそうです。これがその改善した足の裏です。

「頻尿・痛み」というのはよく知られた間質性膀胱炎の症状ですが、「足の冷え」を代表とする「冷え症」を持っている方も多くいます。
「冷え症」あるいは「冷え性」は、漢方の世界でも代表的な症状のひとつです。漢方では、その原因を「虚症きょしょう」として捉え、「気」が足りない状態「気虚ききょ」を意味します。

西洋医学的考えでは、「気」は存在しません。実際には存在するのかも知れませんが、現代医学では証明できるエネルギーや物質ではありません。では、「冷え症」をどのように考えれば納得ができるのでしょうか。

生理学的に考察しましょう。
冷たい感覚は、知覚神経(感覚神経)の冷覚が刺激されているに他なりません。実際に患者さんの足の冷えを訴える足を触れると、冷たく感じる場合が多いようです。「・・・多いようです」というのは、冷たくない場合もあるからです。

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マラソンとトイレ

高橋先生 はじめまして。 初めて相談いたします。品川区在住の〇〇〇〇と申します。35歳女性です。 膀胱の違和感で悩んでおります。違和...

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膀胱頚部硬化症と診断された患者さんへ

膀胱頚部硬化症と診断された患者さんへ 「膀胱頚部硬化症」という病名は一般的ではなく、泌尿器科専門医にも理解してもらえない可能性のある...

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患者さんからのお便り

高橋 先生お元気ですか? 今年の2月に内視鏡手術をしていただいた、カルテNo.・・613の神奈川県〇〇〇〇市在住の〇〇〇〇子です。お...

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膀胱炎に間違われた「膀胱出口嚢胞」患者さんのその後

1日10回以上の頻尿(多い時には20回)と尿道の痛みで、内科、腎臓内科、婦人科を受診し、問題が解決しないので4軒目で高橋クリニックを受診した患者さんです。超音波エコー検査で膀胱出口に嚢胞を認めました。ある意味膀胱頚部硬化症による排尿障害です。

3D画像で膀胱出口近くに嚢胞が明瞭に確認できます。

3D画像の正面像で見ると、膀胱出口の大部分を占拠しています。

尿流量測定検査で、排尿障害を認めました。これが、患者さんの訴える症状の元凶なのでしょう。ご主人ご家族に相談し、内視鏡手術を決め、本日手術を実施しました。

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臨床治験の参加者募集

過活動膀胱(頻尿・尿漏れ)に対する新しい薬の臨床治験を行っています。 次のような症状がひとつでも当てはまる方は、過活動膀胱の可能性が...

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間質性膀胱炎ブログのガイド

このブログは、「間質性膀胱炎」に関して、私の独断の考え方で理論展開しています。あくまでも私の趣味の世界だと思って下さい。しかし、真実...

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瘀血(おけつ)

漢方で血液の流れの悪い状態を「瘀血おけつ」といいます。
超音波の検査で偶然に見つけられる所見です。女性ばかりではなく、男性にも認められます。血液の流れが悪いために起きているであろう病気を西洋医学的には「骨盤内静脈うっ滞症候群」と称されます。

漢方の瘀血は、それだけで独立した病態で、瘀血そのものが病気の根本原因だとされています。気虚すなわち気というエネルギーが不足して、気のエネルギーを原動力にしている血流が十分に働かなくなるというものです。しかし、西洋医学的な立場からすれば、それでは納得がいきません。現在の病気の中で瘀血状態を例に挙げれば、食道静脈瘤、下肢静脈瘤、精索静脈瘤などがあげられます。(表は、基礎中医学、たにぐち書店から)

食道静脈瘤は、肝硬変が原因で門脈圧が上昇したために起きます。上腸管膜静脈→門脈→右心房ルートが閉ざされたために、血流が迂回・遠回りして、脾静脈→食道静脈と流れ、最終的には右心房に戻るルートです。ところが迂回ルートは、本来の流れではないので、静脈は病的に凸凹に腫れ、時として破れて食道に大出血をきたすので吐血します。それが肝硬変の食道静脈瘤破裂です。
食道静脈瘤を治すには、漢方の考え方からすれば、単に食道静脈の流れをよくすれは良いということになります。しかし、漢方で食道静脈瘤を治した!という情報を耳にしたことがありません。

【写真】
血流の悪さは、通常、下流の流れの悪さがリミッターになり、血流全体の流れの悪さになります。

【写真】
例えば、高速道路の渋滞原因は、走行する車の台数が多い自然渋滞の場合と、料金所や交通事故による物理的原因による渋滞に分けて考えることができます。
人間の体の中で血流が急激に増えることはありませんから、生命現象で血流の悪さは、下流での流れの悪さ一つに原因がしぼられ特定されます。
漢方の考え方でいえば、高速道路が渋滞するのは、車に流れようとするエネルギーがない(ガス欠?)から渋滞するのだということになります。荒唐無稽な考え方です。

食道静脈瘤の場合は、肝硬変が物理的原因です。肝硬変を治すことができなければ、バイパス手術で上腸管膜静脈の血流を一部だけ下大静脈につなげれば、食道静脈の負荷が軽減します。全部をつなげると血流内の栄養素が肝臓で処理されなくなり、それはそれで困ります。

瘀血と思われる患者さんの実例をあげます。患者さんは30歳代後半のご婦人です。
平成20年2月に急性膀胱炎になりました。
頻尿・下腹部痛・排尿痛で抗生剤の投与を受けました。しかし、下腹部の痛みが強くなり、猪苓湯・バップフォの投与を受けましたが治りません。平成20年3月に女子医大を受診、五淋散を処方されましたが効きません。地元の泌尿器科でIPD・当帰加補中益気湯を服用しています。
高橋クリニックに平成20年5月に来院しました。
当時の症状は、膣疼痛・右恥骨と鼠径部痛です。この超音波エコー検査は平成20年5月の写真です。膀胱出口のわずかな飛び出し所見があり、ウロフロメトリー検査で、強い排尿障害を認めたので、エブランチルを処方しました。治療の成果が出て、症状は30%ほどに軽減したので、地元の医師にお薬を処方して治療を続けていました。

ところが、最近になり再び痛みが強くなり(80%)、視鏡手術を希望されたので、初診から1年後の平成21年5月に内視鏡手術を受けに来院されました。
この超音波エコー検査は、手術当日の写真です。供覧するためにコントラストを強くしています。
1年前の超音波エコー検査と比較して容易に分かることは、膀胱出口周囲の静脈がとても拡張した(瘀血)ということです。

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メール相談#8 膀胱出口のう胞

高橋先生へ


どのような症状がポスト脳震盪

初めまして長野県〇〇市の〇〇(3・歳・女性)と申します。
膀胱、尿についてのトラブルをネットで調べて、先生のホームページにたどり着きました。

症状は
① 尿道の口がいつも"ツーン"とした感じと、ショーツに当たっている感じがします。過敏になっています。
② 排尿しても残尿感があります。
③ 排尿しても5分ぐらいすると又トイレに行きたくなる時があります。1時間ぐらい行かなくても平気な時もあります。
④ 昼間のトイレの回数は20回ぐらいです。夜は3回~0回です。
⑤ 排尿時、おしっこが左に向かって出ます。太ももに当たってしまうこともある位かなりそれます(数年前から)

4月2日〇〇市内の病院の〇〇病院の内科に罹りました。
診断は、尿検査から膀胱炎と分かり、抗生物質を処方してもらいました。
4月7日:その後も違和感は改善されないので、泌尿器科のある〇〇腎臓クリニックに罹りました。
やはり、尿検査から軽度の膀胱炎と診断されて、違う抗生物質を処方してもらいましたが、改善されず
4月13日(昨日):膀胱鏡の検査をしてもらいました。尿道にカメラを入れる時に「狭いね」と言われましたが膀胱内は異常はありませんでした。それで処置で尿道を広げたと言っていました。特にメスを入れたわけではありませんでした。

「これで大丈夫」と言われましたが、それでも今現在改善されていません。
だんだん気持も落ち込みがちになってきてしまって、家庭や仕事に支障が出ないうちにと思い相談させてもらいました。

相談内容は
① 長野県内出来れば近いところで先生のような診察、検査、手術等に取り組んでいらっしゃる病院(先生)があったら紹介して頂きたいと言うこと。
② ①が無ければ、先生に診て頂きたいのですが、〇〇市から出かけるので、一日で診察と可能な限りの検査を受けてみたいのですが出来るか?と言うこと。
③ このような症状が長く続くと、もしもポリープなどがあった場合、悪性の腫瘍になる可能性があるのか?と言うこと。

お忙しいところ読んで頂いてありがとうございます。
長くなりましたが、以上です。お返事頂けたら幸いです。よろしくお願いいたします。

長野県〇〇市 〇〇

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上記の内容のメールが届き、実際に患者さんが来院されました。
Boocyst23216f352dまず、超音波エコー検査を行いました。
パッと見て、膀胱出口に丸い影が見えます。何でしょう。
写真を拡大してみましょう。

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ボトックスと過活動膀胱(専門書キャンベルから)

UPDATE Date Added: 30 January 2009
Donna R. Coffman, MD
Botulinum A and overactive bladder
Body_ID: PUP2007MMDDA001
Botulinum toxin A (BTX-A) injection induces detrusor muscle relaxation and may affect afferent sensory receptors in the urothelium. BTX-A injection has been used as treatment for neurogenic detrusor overactivity (NDO) and idiopathic detrusor overactivity (IDO).
Body_ID: PUP2007MMDDA002
In a review of studies of the efficacy and safety of BTX-A for treatment of detrusor overactivity, Dmochowski and Sand found that most patients have improved urodynamic variables and decreased need for anticholinergics when treated with BTX-A and that most children with myelomeningocele also show improvement. The data for other subpopulations of patients with NDO (e.g., patients with multiple sclerosis or spinal cord injury) are insufficient (because of inconsistent definitions of continence) to determine whether BTX-A is effective, but high rates of continence (>80%) have been reported in some studies, which is encouraging.
Body_ID: PUP2007MMDDA003
Patients with IDO are not as well studied as patients with NDO, but the evidence to date suggests that BTX-A improves continence, reduces frequency, and improves the quality of life of patients with IDO (33%-91% of patients had regained continence, using various measurements and outcome parameters). Despite the overall reports of efficacy, there is not a standard method for reporting objective and subjective criteria, making it difficult to reach specific conclusions about efficacy.
Body_ID: PUP2007MMDDA004
A wide variety of doses and numerous discrete dose sites have been studied. Although efficacy of doses of 100-300 U of BTX-A given at multiple sites (30 is used most commonly) has been shown, there have been no systematic dose-response studies done in patients with NDO or IDO. Dosage of 1-12 U/kg body weight given in 20-50 injection sites has been reported for children.
Body_ID: PUP2007MMDDA005
The most common side effect is urinary tract infection (4.9%), followed by hematuria (1.6%) and transient urinary retention (1%). Drug migration-related side effects do not seem to be a problem after intravesical administration of BTX, although there are rare reports of induction of an immune response to BTX resulting in reduced response. Sixteen percent of patients with IDO may need to use clean intermittent catheterization for several weeks after BTX treatment. Use of Dysport has been associated with transient muscle weakness and hyposthenia (in 8% and 5% of patients); this seems to be a dose-related effect, but studies are limited.
Body_ID: PUP2007MMDDA006
Duration of effect seems to be ≥6 months, but the authors note the need for a more consistent definition of "duration of effect" to compare trial results more effectively. The range of duration for BTX-A with NDO was 5.3-10.5 months. In patients with IDO, the mean duration of efficacy of BTX-A was 5-7 months.
Body_ID: PUP2007MMDDA007
BTX-A therapy seems to be an effective alternative for treatment of overactive bladder symptoms, but the comparison of trial data is difficult because of the lack of standardized, clear definitions of outcomes and duration of effects. Studies that use standardized, clear definitions would help greatly in determining which patients would benefit the most, what dosage is most effective, when to re-treat, and what patient subgroups might be most susceptible to side effects.
Body_ID: None
Dmochowski R, Sand PK: Botulinum toxin A in the overactive bladder: Current status and future directions. BJU Int 99(2):247-262, 2007.

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泌尿器科医からのメール

高橋先生   〇〇〇〇市の〇医院の〇〇〇〇です 以前患者さんに紹介されて、サイト読ませていただきました。 先生の膀胱頚部硬化症ではな...

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間質性膀胱炎の治療 「仙骨神経ブロック」

間質性膀胱炎・慢性前立腺炎の症状として辛いのが、1日10回~40回の頻尿といつ起こりか分からない強い痛みです。 排尿障害を治さないこ...

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術後3年の感想 (患者さんからのレポート#3の続き)

高橋先生 こんにちは。ご無沙汰いたしております。 2006年2月3日に手術していただいた○○です。早いもので術後3年経ちました。とて...

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日本間質性膀胱炎研究会が間質性膀胱炎診療ガイドラインを編纂(TTMED UROから)

間質性膀胱炎(IC)の診断および治療の手引きとなる「間質性膀胱炎診療ガイドライン」が日本間質性膀胱炎研究会(SICJ)により作成され...

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患者さんからのレポート#17

先生、お久しぶりです。7月10日に手術をして頂いた○○○○です。その節は、本当にお世話になりました。

師走のこの時期、先生はお忙しくお過ごしなのでしょうか?私は、まだ卒業論文に追われていて、クリスマスどころではありません(泣)。でもでも、聖なる夜(?)、ご家族と楽しくお過ごし下さいね。

私も、現在はかなり体調が良く(整ってきて?)、10月の診察の際に訴えていた頻尿は全く無くなりました。もう、卒論がつらいなって思う時、でも高橋先生の事を思い出して、自身の健康な体に感謝する気持ちを再度認識しながら頑張っています。本当に、感謝の気持ちは伝えても、伝えきれないと思います。2008年の、ベスト・オブ・ミーツ(?)に、私は間違いなく高橋先生を推薦したいと思います!!本当に有難う御座いました!

ではでは、インフルエンザなど高橋先生は罹患しなさそうですが(笑)、体調にはくれぐれもお気を付けて(私も気を付けます!)、元気に新しい年をお迎えください。
                                     
かしこ

P.S:『患者さんレポート』は添付ファイルとして送らせて頂きます。もし、高橋先生のパソコンで開けなかった場合はメールでお知らせ下さい。また、何度も見直したのですが、万が一誤字脱字などがありましたらば、その際もご指摘頂ければ、訂正したものを再度送らせていただきたいと思いますので、その際にもメールで返信していただければ有難いと思います。

では、早速患者レポートを書き綴って行きたいと思います。HPを見ている方に、間質性膀胱炎の症状や手術の内容、経過などを少しでも分かりやすく伝える為に、
≪①症状の発祥~高橋クリニックを受診するまで≫
≪②手術実施の決定~手術までの経過≫
≪③間質性膀胱炎の手術≫
≪④術後の経過~1週間・1ヶ月・3ヶ月≫
≪⑤現在の状況~自身の病気を振り返って≫
の5つに章を区切ってレポートをまとめていきたいと思います。ぜひ、私のような若い女性で同じ症状に苦しむ方々(もちろんその他の方々も)にとって、心の不安を除き、少しでも"『高橋クリニック』を受診してみよう!!"という決心を促すキッカケになれば、私自身にとってもこれ以上の幸いはありません。

≪①症状の発祥~高橋クリニックを受診するまで≫
 それでは、まず私の病気の症状が発祥した時に時間を戻して、出来るだけ詳細に皆さんに伝えて行きたいと思います。あれは忘れもしない(笑)、2008年の1月上旬の寒い冬のことでした。私は大学4年生で(現在22歳です)、ちょうど就職活動に精を出している時でした。そんな時、ふいに極度の頻尿と残尿感に悩まされ始めたのです。私は、"きっとこれが噂に聞く膀胱炎というものに違いない"と感じました。それまで、私は膀胱炎になったことがなかったのですが、たまたま膀胱炎になった女友人がいて、どういった症状かは聞いていました。その友達は、『頻尿は大変だったケド、病院に行って薬を貰ったら2~3日で治ったよ。特に冬とかなりやすいらしいよ。』と言っていました。なので、私はそんなに重要に考えていませんでし た。後日、医療機関を受診すると、案の定"急性膀胱炎"という診断が下り、抗生物質を1週間分処方され、私はきちんとそれを飲み、一時はもとのように回復しました。1週間後の尿検査でも特に問題は無く、私は"良かった、良かった"とのほほんとしていました。
 しかし、問題はこれからだったのです。その後1週間も経つと、また例の頻尿と残尿感に悩まされ始めたのです。スグに医療機関を受診しました。しかし、尿には異常は見つかりません…。一応、念の為にということで、抗生物質をまた1週間分処方して頂き、私は腑に落ちない気持ちで毎日を過ごしていました。よくよく考えてみると、抗生物質を飲んでも、症状はあまり改善されないことが分かってきました。しかも、抗生物質は長期に渡って飲み過ぎると身体に良くない、とお医者さんも処方を渋り始めました。その後、頻尿と残尿感は続き、夜もその症状で目が覚めてしまうなど、私は精神的にも辛い毎日を過ごしていたのです。
 それが1月~3月一杯まで続きました。最後には、お医者さんからは、『きっと神経が過敏になっているからに違いないよ。精神安定剤の薬を処方しようか?』と言われる始末です。"私の病気は本当に膀胱炎なのだろうか…。それとも、本当に精神が過敏になっているのだろうか。。。、治らないかもしれない。"。その時は本当に、絶望的な気持ちになりました。しかし、私は最後の希望を信じていたのです。きっと何か解決法があるハズだと!"もう、自分の力で解決方法を見つけ出すしかない!"と、私はインターネットで検索を試みたのです。その、第1ページ目に見つけたのが、『高橋クリニック』のHPでした。
 なるほど…。HPの専門分野の所をくまなく読んでいくと、全く私の症状と同じキーワードが沢山出てきました。残尿感、頻尿、長期間続く、精神の病と誤診されやすい。。。、など等。
私は、自身の病気が"間質性膀胱炎"なのではないかと思い始めました。"う~ん、なんだか不思議そうな先生だケド…、もう私にはここしかない!"これなら、私の病気に一番しっくり来るのだから。"と、初めて納得した気持ちになったのです。電話で一度コンタクトを取り、後日受診することになりました。
 初受診は、4月の10日だったと思います。ここで、私は、初めて『間質性膀胱炎』という診断を受けることになりました。

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患者さんからのレポート#16 お便りと排尿日誌

以前に間質性膀胱炎で内視鏡手術を行なった73歳のご婦人からお便りをいただきました。
高橋クリニックに来院する前は、1日50回から60回の頻尿で苦しんでおられました。膀胱水圧拡張術も受けましたが治療効果なく、わざわざ函館から来院された患者さんです。

複数回の内視鏡手術を実施し、お手紙に書かれた状況までになりました。それでも夜間の睡眠中の排尿回数は多く4回前後起きられています。

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賛同医師からのメールと手技の説明

今回のテーマは医師向け(医家向け)です。専門用語が出て内容が分かりにくいところがありますが、ご容赦下さい。

====================================================================
はじめまして、○○県で泌尿器科をしているものです。
先生のホームページをみて、見よう見まねで施行してみました。

やったばっかりですのでまだ効果は聞いておりません。
水圧拡張3回目に追加で三角部切開してみました。
今後も先生の術式を試してみたいと考えております。
正確な術式を教えて頂けるとのことで、メールさせて頂きました。

よろしくお願いします。

○○○○病院 泌尿器科
○○○○
====================================================================
お答えいたします。

術式にご興味いただきありがとうございます。
木曜日・土曜日を除く、午後4時から7時の間にお電話を下さい。
比較的に外来が空いている時間ですから、お話ができると思います。
術中のポイントをお教えします。
====================================================================
この先生と直接お話ししました。お電話ありがとうございました。
口伝では伝えにくい個所もありますから、ここで細かなテクニックを解説します。

膀胱三角部は解剖学的に膀胱の一部ですが、発生学的には尿管の一部です。ですから膀胱刺激症状といっても、膀胱本来の症状もあれば、膀胱三角部の尿管刺激症状もある訳です。
以前より、膀胱三角部には伸展レセプターが存在し、それが膀胱知覚のセンサーということに生理学的には信じられています。間質性膀胱炎・過活動膀胱などで膀胱が過敏である=膀胱三角部センサーの異常興奮であるにもかかわらず、膀胱水圧拡張術では硬くて伸びにくい膀胱三角部には影響が及ばず、伸びやすくセンサーの少ない膀胱体部のみを膨らませることになるので、一時的に膀胱容量を増やすことができるかも知れませんが、治療効果としては無意味でしょう。膀胱三角部の手術に関しては、慢性前立腺炎のブログの中で詳細に解説しています。このコーナーと合わせて参考にご覧下さい。

しかし、膀胱水圧拡張術が間質性膀胱炎のスタンダードな治療として確立している以上、立場上、私のように自由自在に振舞えない先生にとっては、ひと手間(膀胱三角部減張切開手術)加えることが、現時点では最良の選択だと思います。

以下に、実例を上げ術式について解説します。(手術を行なう泌尿器科医に対しての解説です。したがって手術の写真でご気分が悪くなるような方は、ご覧にならない方がよいでしょう。)
患者さんは63歳のご婦人です。
平成18年12月から日中20回以上の頻尿と夜間7回の頻尿で地元の大学病院を受診、間質性膀胱炎と診断されました。
平成19年7月に尿意が強くなると下腹部の痛みが出現するようになり、地元の病院から東京の私立大学病院を紹介され、その年の11月に膀胱水圧拡張術を受けました。
しかし症状は悪化するばかりで平成20年9月に高橋クリニックを受診しました。

それまで服用していた薬は、IPD・トリプタノール・アタラックス・ロキソニン・ソレトンです。日中の頻尿は60回~70回、夜間は7回の頻尿です。
水分制限(一時期は1日5㍑飲水していたそうです。)を1日1㍑以下にしていただき、エブランチルの服用したところ、うなるような腹痛はおさまりましたが頻尿はそのままで、手術を強く希望されました。
膀胱出口の側面3D画像です。
上下の膀胱括約筋が正対しなければなりませんが、緑の破線矢印で示すように互いに交差しています。下の膀胱括約筋が尿道側に迷入しているようにも見えます。膀胱三角部と膀胱括約筋との乖離部分が膀胱頚部硬化症の部分になります。
膀胱出口は排尿中の観察ではないにもかかわらず、開いているように見えます。これは、膀胱出口周囲が盛上がった(平滑筋過形成:赤い矢印)ために、見かけ上、開いているように見えるだけです。

術前の膀胱鏡検査所見です。
お決まりの「点状出血」は膀胱のいたるところに確認できます。

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間質性膀胱炎の膀胱鏡所見「点状出血」

間質性膀胱炎の診断基準にある「点状出血」について、とある掲示板で話題になりました。
話の展開の中で、慢性前立腺炎と間質性膀胱炎の原因が排尿障害であると主張している私の考え方に矛先が向けられました。慢性前立腺炎の手術を多数行なっている私のブログの記載の中に「点状出血」の記載がないので、本当は、慢性前立腺炎と間質性膀胱炎を別物として私は考えているという趣旨の内容だったと思います。

そのことに関して、「慢性前立腺炎」のブログで詳細に解説しました。内容が重複しますが、本来の間質性膀胱炎のブログページに掲載します。

間質性膀胱炎の診断基準の一つである「点状出血」について、その価値について未だ確立されていません。
Waxmanらの報告によると、間質性膀胱炎症状を有する患者さんのうち「点状出血」を認めたのは42%のみだったそうです。また、同じWaxmanらの別の報告で、卵管結紮(不妊手術)を受けた21歳から43歳の無症状(間質性膀胱炎症状のない)の女性20人に膀胱水圧拡張を行ったところ、45%に「点状出血」を認めたという報告です。(いずれも排尿障害プラクティス 間質性膀胱炎の最前線より)
つまり、「点状出血」の存在確認は、間質性膀胱炎の診断の参考にはなるが決定打ではないということです。


心臓病のリスクを増加させているもの

「診断基準」とは、原因などの全体像が定かでない病気に対して、臨床医が困るので便宜上「仮」に儲けた「一時的」な定義です。しかし困ったことに、一時的にもかかわらず恒久的な存在になることがしばしばです。「診断基準」で定義されたことが一人歩きをし、新しい知見を蹴散らしてしまうのです。自分たちで定義した狭い意味の言葉によって、思考が呪縛され奴隷に成り下がるのです。この現象は思考の弱さにあるのです。一旦定義すると、それ以上問題の事象を掘り下げなくなります。そしてその定義したことを安心の「拠り所」にしてしまうのです。「点状出血がなければ間質性膀胱炎ではない」などとトンチンカンな考え方を吐露するのです。
しかし、この現象は私も含めた全ての人間にみられる傾向です。これを思考の「慣性の法則」といいます。もちろん私のブログの中でも、そこここにこの現象はあるでしょう。常に用心をしなければなりません。

私は間質性膀胱炎も難治性の慢性前立腺炎も、その原因はどちらも「排尿障害」だと信じています。
間質性膀胱炎も慢性前立腺炎も過活動膀胱も神経因性膀胱も心因性頻尿も慢性骨盤内疼痛症候群も、原因の出発点に排尿障害があり、その行き先がそれぞれ異なった終着駅(症状の異なる病気)として認識されているに過ぎないと考えています。特に女性の場合、前立腺というショック・アブソーバーがなく、また性差のために必ずしも男性と同じ症状同じ検査結果が得られないのでしょう。逆に原因が同じであれば、男性も女性も全く同じ症状同じ検査結果が得られるのだと主張すること自体に、生物学的にも医学的にも無理があるのでは?と考えます。

さて、「点状出血」については、その成因について深く解説した文献はありません。現象の程度についての記載はあります。では、なぜ「点状出血」がおきるのかをここで少しずつ考えてみましょう。

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間質性膀胱炎のKさんからのお便り#2

間質性膀胱炎症状で苦しんだKさんから、右のお便りが来ました。 患者さんKさんの難治性の激痛症状で治療者としても、本当に大変でした。 ...

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★ 間質性膀胱炎の要約 ★

このブログをお読みになった難治性の慢性膀胱炎や間質性膀胱炎の方から、地元の泌尿器科医を紹介して欲しいという内容のメールが頻繁に届きます。
このブログに掲載されている間質性膀胱炎に関する考え方や治療法は、私独自のもので一般的ではありません。ですから鹿児島県鹿屋市の倉内先生以外に、ご紹介できる医師を存じません。
このブログの内容は110テーマ以上になりますから、全てを印刷(A4で300ページ以上の量)して主治医に手渡しても要領を得ませんし、現実的ではありません。
そこで、私の考え方や治療法を以下にまとめます。これを印刷して主治医にご相談下さい。質問があれば、医師からの電話での直接の質問もお受けします。
(院長直通:03-3771-8034 ただし午前9時~12時まで)

【考え方】
【1】何らかの原因で、膀胱出口や膀胱頚部の機能が不完全で、排尿時に膀胱出口が十分に開放しない。
【2】膀胱出口の周囲は粘膜・筋肉で構成され、ある程度の柔軟性がある。膀胱出口が十分に開放しないため、排尿時に下部尿路(膀胱三角部・膀胱出口・膀胱頚部)が振動する。その振動は自覚できない。
【3】その振動が慢性化し繰返し起きると、生体の防御・適応反応で、膀胱出口の線維化あるいは膀胱括約筋の過形成を促され膀胱出口が硬くなる。広い意味での「膀胱頚部硬化症」である。「機能性膀胱頚部硬化症」ともいえる。狭義の膀胱頚部硬化症は内視鏡手術後の線維化を意味する。
【4】硬くなったため、膀胱出口は柔軟性が欠如し、排尿時の下部尿路はさらに一層激しく振動することになる。
【5】この激しい振動は、刺激エネルギーとして下部尿路全体を絶えず刺激する。
【6】膀胱刺激知覚症状(特に膀胱三角部において)として、残尿感・頻尿症状がある。
【7】下部尿路の神経支配の脊髄を絶えず刺激することで、脊髄内の神経ネットワークが発達し、他の知覚経路や自律神経経路と接続するために、関連痛・自律神経症状が出現する。
【8】下部尿路の振動エネルギーによる器械的刺激により、膀胱は物理的炎症を起こす。細菌感染やアレルギーの炎症ではなく、あくまでも「物理的炎症」である。
【9】「軽微な排尿障害の慢性的な繰り返しが、膀胱を病的に変容させる」が慢性膀胱炎・間質性膀胱炎の本質である。
検査で細菌が「たまたま」検出されると「細菌性慢性膀胱炎」、細菌が検出されないと「気のせい」「心因性頻尿」、尿意切迫感が強いと「過活動膀胱」、痛みが強いと「疼痛性膀胱」、病歴が9ヵ月以上、年齢が18歳以上で夜間も頻尿が認められると「間質性膀胱炎」と診断される。自律神経症状が強いと「自律神経失調症」「更年期障害」、関連痛が全身に及ぶと「線維筋痛症」と診断される。中途半端な検査と症状に振り回されることにより、同じ病気を細かく分類しているに他ならない。よって、受診する医療機関ごとに様々な病名を付けられることになる。

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間質性膀胱炎の診断基準

間質性膀胱炎の診断に当っては、下記の診断基準が使用されます。診断基準が使用されるということは、病気そのものがよく解明されていないとい...

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ブログの感想と急性膀胱炎

こんにちは。はじめまして。私は 群馬に住む ○○歳の主婦です。 実は ここ数日 なんか 残尿感があり! (こんなことは初めてなのです...

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患者さんからのレポート#15 手術後の妊娠

高橋先生こんにちは! 昨年の7月と11月に手術をしていただいた○○○○です。 最後に病院に伺ったのが3月で、その後まもなくして妊娠し...

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「過ぎたるは及ばざる如し」 水は不可欠な存在だが、過剰な飲水は毒 

以前にも水分の取り過ぎに注意を促しました。
しかし、来院される患者さんの多くが、水の取り過ぎで病気に苦しんでいます。「たかが水」という認識と、「水は身体によい」という妄信と、「炎症の治療」には大量な尿排泄が必要という呪縛(無理解な泌尿器科専門医が飲水を勧めるので・・・)が存在しているからです。
飲水治療は、「細菌性」の急性膀胱炎・慢性膀胱炎と「細菌性」の急性前立腺炎・慢性前立腺炎にしか効き目がありません。それも抗生剤・抗菌剤のなかった頃の主たる治療です。(この種の尿路感染症に適応のある漢方薬も利尿作用があるので、飲水治療と同じです)
誤解を解くために、ここで再度、「水」について論じたいと思います。

右の図は、60kg体重の人の体の水分収支です。
体重の60%が水分といわれていますから、60kg×60%=36kg=36ℓ(1g=1mlとして)です。
数値には幅があります。必ずこの数値どおりとは限りませんから、参考の標準データと思って下さい。

【経口から入る水分IN-PUT】は次のようです。
1.食事:1.0ℓ(私たちは水分のないものは食べれないのです)
2.代謝水:食事がエネルギーとして代謝される時に、化学反応の結果排出される水0.5ℓ
3.飲水:0.8ℓ(0.5ℓ~1.0ℓ)(自分の意志で調節可能な水です)

【排出される水分OUT-PUT】は次のようです。
1.尿:1.4ℓ(体重1kgにつき1時間に1mlの尿が生産されます。したがって60kg×1ml×24時間=1440mlです。しかし、腎臓の基礎代謝(アイドリング状態)で最低でも500mlの尿が何が何でも排泄されるので、900mlは調節可能です)
2.呼気・汗:0.8ℓ(呼気で300ml、汗で500mlです。汗といってもダラダラ流れる汗ではなく、不感蒸泄といって体表から蒸発する水分です)
3・大便:0.1ℓ

例えば、・・・

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間質性膀胱炎の手術治療 2008年日本泌尿器科学会での発表報告

以前に予告した学会発表を本日、2008年4月25日(金)横浜のパシフィコ横浜で発表してきました。
発表内容をこのブログで、発表したのとほとんど同じに報告しましょう。口語体ですから、少し不自然かも知れません。スライドが40枚を超えていますので、このブログに全てを掲載するまで時間がかかりますから、気長にお読み下さい。

さて、このセッションの座長は、私の1年後輩の慈恵医大の清田浩准教授でした。
私が研修医2年生の時に清田先生は研修医1年生でした。私は当時偉そうに清田先生を指導していましたが、今や立場は逆転し、・・・清田先生はこの世界(感染症)の重鎮です。
本題を発表内容に戻しましょう。

頻尿治療の選択肢の一つとして、5年前から内視鏡手術を実施しています。
今回、代表的な4例を報告します。

患者さんは、いずれもご婦人の方です。
過去に「間質性膀胱炎」と診断を受け、「膀胱水圧拡張術」を全員受けています。

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患者さんからのレポート#14

先生ごぶさたしております。診察券番号・・953の○○です。 外国へ行くから、と手術を早めていただいたのですが覚えていらっしゃいますか...

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手術後2年の感想

高橋先生 こんにちは。 ご無沙汰いたしております。 2006年2月・日に手術していただいた○○です。 早いものであっという間に術後2...

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「冷え」と急性膀胱炎

ご婦人で冷えた場所に長い間いたりすると、急性膀胱炎になることがあります。
あなたも経験したことがあるでしょう?

ご婦人の急性膀胱炎は細菌感染ですから、その原因として90%がセックスです。しかし、患者さんにお聞きすると、「頑としてセックスはしていない」とされる方や高齢者で絶対にセックスはしていないと医師が思える方がいます。仕方がなく、原因はともかく、たまたま(私はこの言葉が嫌いです)だろうと私は思うようにしています。
【ひまわりからの冬の衛星写真】

人のからだの仕組みを深く知るうちに・・・

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患者さんからのレポート#13

高橋先生、こんばんは。

9月に手術して頂いた、○○○○と申します。
駄文な上に長文で申し訳ないのですが少しでも同じ症状で苦しんでいる方の力になれたら・・・と遅くなってしまいましたが、レポートを書かせて頂きました。

手術前
初めて膀胱炎になったのがいつか詳しく覚えていないのですが恐らく高校を卒業した頃だったと思います。
それからは冬になったり、体調を崩すたび度々膀胱炎になっていました。
頻尿はあまり意識していなかったのですが、ゆっくりとひどくなって行きそのうちに、30分~1時間に1回程のひどい頻尿になりました。
しかし、痛み等が無いため、頻尿がまさか膀胱の病気とは思わず体質的なものと思いずっと放っておいたのです。
そして昨年の6月頃、ある日突然、尾てい骨あたりがジンジンと痛みだしたのです。
最初は坐骨神経痛みたいなものだろうかと、整体に行ったりしたのですが全くよくならず、なんだろう?と首をかしげて過ごしていました。
段々と痛みはひどくなり、ある日眠れない程に痛くなりました。
ヘルニアでは?と病院に行ってレントゲンを撮るも異常なし。
原因が全くわからず、困ってたある日の夜突然、今までに味わった事の無い痛みが膀胱に走ったのです。
今までの膀胱炎とは明らかに違う感じの、激痛でした。

あまりに立て続けに痛みの症状が起こったので これは何かおかしい、一度ちゃんと専門の先生に膀胱を見てもらおう、と検索し、見つかったのが高橋クリニックだったのです。
もしこの時、先生のサイトに辿り着けていなかったら。と想像すると今でもゾッとします。

ブログを読み、患者さんのレポートを読み、私はこの病気なのではないか。
尾てい骨辺りの痛みも、このブログに書かれている、関連痛なのでは?と思いさっそく翌日、高橋クリニックに向かいました。

そこで、検査をし、排尿障害が見つかり、このとりとめもない症状が、膀胱の病気で、その症状なのだ、とちゃんと判った事がすごく嬉しかったのを覚えています。(変な話ですが・・・)

そしてその日ブログで何度も名前を目にしていたエブランチルを頂きました。
その頃の膀胱の状態は今思い出しても末期で、尿意は15分~30分くらいでやってくる上、膀胱、尾てい骨には常に激痛が走り(とても不思議で、尾てい骨辺りが傷んでいる時は膀胱には痛みはなく膀胱が痛んでいる時には尾てい骨辺りの痛みもありませんでした)
息んでもちょろちょろ、としか尿が出ず、そして尿をしようとしても激痛が走るという状態でした。
しかし、お薬を飲むと、日に日に尿の出がよくなってくるのを感じていました。
そして、尿の出がよくなってくるのに比例して、痛み、頻尿もよくなっていっているのを感じました。

痛みは辛かったですが、このまま飲み続ければ、いつか痛みも無くなる!と思っていた矢先・・・心臓に痛みが走ったのです。
今まで味わった事の無い感覚だったので、慌てて先生にメールをするとエブランチルの副作用と言う事でした。折角よくなってきていたのにもう薬を飲む事ができないのか。とても悔しく、真っ暗な気持ちになりました。
新しく頂いたお薬を飲んでも、また心臓に痛みが走り・・・投薬は中止、と言う事になってしまったのですが、この痛みを抱えて生きていく事なんてできない。と私は先生に手術をお願いしました。

そして3ヶ月先に何とか予約を取る事が出来その日をとても待ち遠しく思いながら、過ごしました。
その間、膀胱は時折痛むものの、一番ひどい頃よりは大分マシになっていたので、水分を控えるようにして過ごし、なんとか症状をひどくさせず手術日を迎える事ができました。

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間質性膀胱炎のKさんからのお便り

横浜○○のKです。
先生、この一年本当にありがとうございました。
夏のあの激しい痛みとの闘いが嘘のように、今は例の切り裂かれる痛みがまったくありません。
トイレの回数も平均2時間~3時間空くようになりとても楽です。
気を付けている事はお薬を忘れずに飲む事と、アレルギーに良くないとされている食品をなるべく控えるようにしている事と足首などを冷やさないように注意しているくらいです。
先日(12/17)にテニスの試合にも復帰しました。
結果は2勝1敗で2位リーグでしたが、復帰戦としては上出来です。
25日からは毎年恒例の北海道スキーにも行かれました。
去年までは一本滑ってはトイレを気にして、夜は痛みが出ないかハラハラしながらでしたが、今年は健康な人と変わらないくらいのトイレの回数でしたし痛みもまったくありませんでした。
もちろん油断は大敵なので無理はしていません。
すべてあの激しい痛みの日々を毎日ブロック麻酔で治療してくださった先生のお陰です。
これからも先生のご指示通り治療を続けていきますので宜しくお願いします。
良いお年をお迎えください。
4月の学会、頑張ってください。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

本当に、本当~に良かったですね!
また、テニスの試合、久しぶりの試合ですごい快挙ですね!まわりのお仲間も、さぞ驚いていることでしょう。
今のあなたの健康状態を知って、あなたの私への感謝と同じくらい、私からあなたへの感謝の気持ちでいっぱいです。

でも私も安心はしていません。お互いに慎重に行きましょう。

あなたを常にサポートしている愛するご主人によろしくお伝え下さい。
お大事に。

このメールを匿名でブログに掲載します。
よろしければお返事下さい。

高橋クリニック 高橋 知宏
クリニック:03-3771-8000
院長直通:03-3771-8034

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。
お陰さまでとても楽しいお正月を過ごしています。
身内からも、本当にトイレが遠くなったね!元気になったから声にも張りが出てきたね!って言われました。
すご~く嬉しい~!先生のお陰です。
ブログの件、勿論OK!です。
私の近況を知って、同じ苦しみで悩んでいる方が少しでも希望を持てたら幸いです。
今月中旬にお薬をいただきに伺います。

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学会報告の予告編

開業して18年になりました。
間質性膀胱炎の治療始めてから5年は経過しています。それなりのデータが集まったので2008年4月に日本泌尿器科学会で間質性膀胱炎に関連した報告をします。テーマは「1日61回の頻尿を5回に」を選びました。間質性膀胱炎の治療も慢性前立腺炎の治療も私にしてみれば原則的には同じ【膀胱頚部切開手術+膀胱三角部切開手術】なので、聴衆の慢性前立腺炎に興味のある泌尿器科医にとっては参考になるでしょう。

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★お知らせ

12月29日(土)~1月6日(日)まで冬休み休診です。


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18歳からの頻尿

36歳のご婦人です。
7年前に血尿が出る急性膀胱炎になりました。抗生剤で症状は軽快しましたが、その後3ヶ月~1ヶ月に1回膀胱炎症状になり始めました。
5年前には腎盂腎炎にかかり泌尿器科を受診して、膀胱鏡検査まで行ないましたが異常は認められませんでした。
この患者さんは、18歳の頃から(18年前)、頻尿があります。毎日16回以上(1時間に1回のペース)と夜間1回オシッコで目が覚めるというのです。
そして、ここ最近、尿が出にくいという感覚と2時間以上オシッコを我慢すると下腹部が重く痛くなるのだそうです。
さっそく、尿流量測定ウロフロメトリー検査を行なうとグラフの如く腹圧性の排尿曲線を示し、排尿障害を疑います。

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膀胱三角部の秘密


【ネッター解剖学アトラス 南江堂から 膀胱解剖図】
膀胱の一部である膀胱三角部は、解剖学名から膀胱そのものと思ってしまいます。医師ですらそうですから、一般の人であればなおさらでしょう。
慢性膀胱炎も間質性膀胱炎も、その影には排尿障害が存在して、その排尿障害が膀胱三角部を刺激するから頻尿や関連痛などの膀胱刺激症状が発現するのだというのが、私の理論です。
膀胱の中で、膀胱三角部がなぜ敏感なのかは、誰も知りません。また、知ろうともしませんでした。
膀胱平滑筋の理論を持ち出して、あれこれと考えてもみました。でも膀胱の他の部分と比較して、膀胱三角部が敏感だという根拠は、どこにもないのです。

ところが・・・

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自己免疫の暴走

慢性膀胱炎や間質性膀胱炎を排尿障害が原因だとして、私は治療を続けています。
内視鏡手術で症状が完全に治まったかのように思えた患者さんが、しばらく、半年~2年経過してから症状が突然としてぶり返す患者さんがいます。
以前に、他のブログで紹介したKさんもその一人です。
ここで紹介したエピソードの後、再び痛みは増強して、毎日2回ブロック注射を打ち続ける日々が続きました。内視鏡手術の際に、膀胱粘膜はびらん(糜爛:潰瘍状)状態で出血も認めました。いわゆる間質性膀胱炎の状態です。尿も混濁しています。つまりは白血球が尿中に多数認める訳です。

この患者さんの診察・治療に当って疑問点が幾つか出てきました。
1.内視鏡手術で、苦しんでいた症状が半年間は軽快していたという事実。
2.その後、突如として痛みと頻尿が出現したという事実。
3.術中の膀胱内所見は、膀胱粘膜がひどく傷んでいる慢性膀胱炎所見。
4.内視鏡手術により痛み症状は、その直後から軽快したという事実。
5.術後1週間で、再び症状が発症して、手術前と同じように患者さんが苦しんでいるという事実。

手術で軽快するということは、器質的な病気だということです。そこに悪い部分があるので、手術し取り去ることで苦しみから解放されるということです。
にもかかわらず、再び症状が発症したという不思議さです。
膀胱粘膜がただれている(糜爛状態)ということは、細菌・ウィルス感染性膀胱炎やアレルギー性膀胱炎・放射線障害性膀胱炎の場合におきる病態であって、単なる排尿障害でおきる症状とは考えられません。
再度の内視鏡手術で、膀胱粘膜はまだ改善していない筈なのに、症状が短期間で軽快したという不思議さです。
そしてケロッとしていた状態が1週間で、再び最悪の症状になったという、器質性の病気なのか機能性の病気なのか、まるでどちらもが混在しているような状態が、短期間のうちに出現したのです。

以上の事実と私が感じる不思議さをもとに、私は、一つの仮説を立てました・・・。

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腎盂腎炎と膀胱炎

私が唱える慢性膀胱炎と間質性膀胱炎の原因は、排尿障害です。(異論もあるでしょうが・・・) 慢性膀胱炎や間質性膀胱炎症状で来院される患...

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患者さんからのレポート#12

高橋先生、こんばんは。 一年前の10月4日、内視鏡で排尿障害の手術をして頂いた NO.・・・10の○○○○です。 ご無沙汰しています...

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心因性頻尿で4年

4年前から「心因性頻尿」の診断で治療されていますが、治らない50歳代のご婦人です。1日13回と夜間1回の頻尿です。
尿がたまると、動悸がして後頚部が痛くなりますが(関連痛と関連痛に準じた自律神経症状)、排尿すると症状は落ちつきます。
地元に大学病院と泌尿器科開業医を受診しましたが、「心因性頻尿」と診断され、次のような処方がされています。
ドグマチール・パキシル・セルシン・ブラダロン・ルボックス・グランダキシン・清心連子です。

尿流量測定ウロフロメトリー検査を行なうと、腹圧性のギザギザの排尿曲線で力のないグラフです。案の定の排尿障害です。
自尿は317ml、残尿は30ml(正常は0)です。
2D側面画像です。
膀胱出口がチョッと盛上がっています。
排尿障害結果の膀胱出口周囲の2次的変化です。
2D正面画像でも盛り上がりが確認できます。
膀胱出口周囲の膀胱壁に静脈瘤も確認できます。

この3D画像を見ると、今まで見えなかった所見が確認できました。

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膀胱平滑筋の謎と秘密

前回、平滑筋というテーマでお話をしましたが、テーマが大きく内容が多方面にわたり専門的だったりして分かりにくかったかも知れません。
そこで、今回は膀胱平滑筋にしぼってお話しましょう。慢性前立腺炎の病態に、前立腺ではなく膀胱平滑筋に本質が隠れていると私は思っていますから、慢性前立腺炎の方は「何だぁ・・・前立腺じゃないのか・・・」などと思わないで下さい。
私は泌尿器科医ですから、平滑筋の専門家からすれば素人同然です。プロの切り口ではない素人の切り口で膀胱平滑筋を見ていきたいと思います。詳細に知りたい方は、日本平滑筋学会で調べて下さい。
平滑筋について分かりやすく解説のある専門書Cellular Aspects of Smooth Muscle Function (CAMBRIDGE)から、写真をお借りして説明します。

【正常の膀胱平滑筋】
前回も使用した、ネズミの膀胱平滑筋の正常な電子顕微鏡組織像です。
F:筋線維芽細胞、Nとn:神経線維です。他はすべて膀胱平滑筋です。
これからの説明で、常に比較していただきたい正常組織像です。
細胞は瞳(ヒトミ)型あるいは紡錘(ぼうすい)型でほぼ均一です。細胞の一個一個に核が存在します。細胞の中に複数の黒っぽい●を見つけることができます。これが有名なミトコンドリアです。エネルギーを産生する細胞の中のシステムです。ミトコンドリアは母親のミトコンドリアのみが遺伝します。父親のミトコンドリアは遺伝しません。
組織写真は横断面なので、紡錘型の断面を観察していますから、紡錘型には見えません。大きく見える細胞は紡錘型の中央の断面で核が見えます。小さく見える細胞は紡錘型の端の部分ですから、丸みをおびて核が見えません。下のイラスト(Campbell-Walsh Urologyから)を参考に立体的に想像して下さい。

組織標本のスライスの仕方で、すべての細胞が同じ形に見えませんし、細胞のすべてに核が入っているようにも見えませんが、本当はそうなのです。また細胞の辺縁もとても滑らかです。
細胞と細胞の間(細胞間隙さいぼうかんげき)も狭く、細胞間の情報が伝達しやすくなっています。
正常の組織像を見て、くどくどと解説しているのは、異常所見があったときに理解しやすいからです。組織が正常の構造を保つためには、整った環境でなければならないということが、後の解説で理解できると思います。

【膀胱平滑筋の病的変化】
この図は、上の電子顕微鏡の同じ種類のネズミに実験的に排尿障害を作り、その後検査した所見です。
膀胱平滑筋の形が大きくなり、細胞内の核も腫大し染色も均一になっています。細胞質に空胞構造や切れ込み(陥入)が散見できす。平滑筋細胞の間(細胞間質)に、今までなかった物質(コラーゲン線維?)が出現しています。
排尿障害があると、このように膀胱平滑筋は変化するのです。しかし、臨床では排尿障害があっても、膀胱平滑筋は疲れているだけ程度にしか思われていないのです。医師の頭の中の想像と現実の間には、このようにギャップがあるのです。このギャップから生じる患者さんの訴えは、「気のせい」と片付けられることが多いのでしょう。

【考え方 その1】
細胞と核の形が正常時と異なるということは、生命現象にとってはとても大変なことです。
この状態を理解する方便として、膀胱平滑筋細胞を大きな工場として説明すると理解しやすくなります。
膀胱平滑筋全体が大きなオートメーション工場だと仮定すると、核は工場の中枢にあるコントロールセンターです。核が大きくなっているということは、コントロールセンターがフル稼働していているということです。コントロールセンターのコンピューターがフル稼働しているかどうかは、現実の世界では外見上は分かりません。しかし、生命活動の世界では核が大きくなっている、あるいは染色が正常ではないというのは、核が正常の状態ではないということが外見的に判断できるのです。
また、細胞が腫大している=工場がフル生産していることになります。この状態は一時的なら問題ありませんが、長期の場合には、工場の過剰生産あるいは工場内機械がオーバーヒートを起こすでしょう。従業員は過労のために次々と倒れるかも知れません。工場内の機械はオーバーヒートで発火し火事になるかも知れません。工場内には工業製品があふれ、足の踏み場もありません。工業製品の搬送もできません。
資材を調達する資金は枯渇し、工業製品の運搬路も崩壊し、この工場を持つ会社は倒産寸前です。
一枚の組織写真からここまで推理できると、病理組織学は奥行きが出てとても面白くなります。

組織学・病理学は形態学的検査ですが、上記のように、その背景にある生理学・機能学を想像しなければ生きた学問や検査にはなりません。しかし、最近の診断医は目の前の形態的異常のみに目を奪われ、その奥に潜む病態生理を見逃すことがあります。
話がずい分と横道にそれてしまいました。
この組織像から、表向きは上記のように説明がつきます。しかし、世の中は一方向からの観点からだけでは、誤った判断をすることがあります。チョッと視点を変えてみましょう。

Smimagej_2【考え方 その2】
イラストの膀胱平滑筋が収縮した絵を再度ご覧下さい。この収縮した膀胱平滑筋を中央の位置で切断すると、どのように観察できるでしょうか?
そうです、収縮していない膀胱平滑筋に比べて、細胞も核も大きく観察できるのです。つまり上の写真の【膀胱平滑筋の病的変化】は、膀胱平滑筋がすべて収縮している組織の断面図とも解釈できるのです。
核も細胞質も腫大していると判断することは、膀胱平滑筋細胞が静止状態でバカになってしまったという印象になりますが、収縮しているとなるとダイナミックな活動時の平衡状態のような印象で、全く正反対の印象です。

このネズミの膀胱組織を採取する状況を考えると、この異常さが容易に理解できます。排尿障害を作ったネズミをまず屠殺(とさつ)します。屠殺した時点ですべての筋肉、骨格筋も内臓筋も弛緩します。もちろん膀胱平滑筋もです。ところが、その後採取した膀胱平滑筋が収縮したままの形態で観察されているとすれば・・・異常でしょう?
つまりは、死んでもなお、筋肉が弛緩しない膠着状態の生きた膀胱平滑筋であったという事実に驚くばかりです。膀胱平滑筋の仕事は収縮することですから、死んでもなお収縮していると考えると、前記の【考え方 その1】の工場がフル稼働で破滅寸前という考え方にも共通するものがあります。

次に述べる専門書の実験結果は、これまでの考えを強調するものです。

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平滑筋の謎と秘密

膀胱や前立腺に存在する平滑筋は、解明されているようで実は完全には分かっていません。
私の本当の治療相手は、前立腺でもなく膀胱でもなく、実はこの平滑筋だと思っています。
この平滑筋について、少し詳細に述べようと思います。(私の空想・仮説も時々混じっていますから、だまされないように客観的にご自分の心の目でお読み下さい。)

【α-ブロッカーとαレセプター】
私がよく間質性膀胱炎、前立腺肥大症や慢性前立腺炎にα-ブロッカーを処方します。α-ブロッカーは何に作用するかご存知ですか?
前立腺平滑筋や膀胱平滑筋のαレセプターに作用するのです。
αレセプターは、交感神経から放出されるノルエピネフリンに反応して、平滑筋を収縮させます。α-ブロッカーはこのノルエピネフリンとαレセプターの間に邪魔に入り、その作用を弱め、平滑筋の収縮を抑制し弛緩させるのです。
平滑筋は、心臓を除くすべての内臓や血管に分布します。その部位によってレセプターの種類が異なります。
血管はα1b、前立腺はα1aとα1d、膀胱はα1dレセプターにすみわけができます。(図ではα1dは?になっていますが・・・)

【筋肉の種類】
平滑筋はどのような特徴があるのでしょうか?
この図は、平滑筋・心筋・横紋筋の特徴を示した表です。平滑筋は内臓筋で、横紋筋は骨格筋です。心筋は筋肉の種類からすると横紋筋ですが、働きは力強い内臓筋の作用を持っています。要するに心筋=(横紋筋+平滑筋)÷2の性格を持っています。
横紋筋の収縮は神経に完全に依存しています。そして緊張度は筋紡錘という特別な装置でコントロールされています。
心筋は、多数の心筋細胞がペースメーカーの働きで全体として一つのまとまった動きをします。しかしペースメーカーの働きが弱いと、それぞれの心筋が勝手に収縮します。それが不整脈です。心筋は隣り合う筋肉同士の電気的情報のみでコントロールされていて、緊張度をはかる感覚器(筋紡錘)はありません。
平滑筋は、神経に完全にコントロールされたグループ(血管など)と、筋肉の電気的結合によって一つが全体に、全体が一つにまとまった動きをするグループ(胃・膀胱・子宮など)とに分けられます。平滑筋の緊張度をはかる感覚器がないにもかかわらず、平滑筋は緊張・収縮を適度に保っています。これが不思議なのです。

【平滑筋の仕組み】
平滑筋は、神経刺激や化学伝達物質、ホルモン、物理的伸展刺激などにより、カルシウムイオンを細胞内に取り込み、収縮をします。すなわち平滑筋内のカルシウムイオン濃度が高まると収縮するのです。
刺激が強いと、当然収縮するのですが、生理的には一定の緊張度を保ちながら我慢するのです。感覚器がないのに緊張度をはかれないのに我慢するのです。これが不思議な現象です。
例えば、オシッコがいっぱいたまったのに我慢できるシステムの詳細が、生理学でも臨床医学でも完全に解明されていないのです。

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