2012年4月25日水曜日

うつ病モデルマウスと遺伝子治療 - 蝉コロン


うつ病モデルマウスと遺伝子治療

Reversal of Depressed Behaviors in Mice by p11 Gene Therapy in the Nucleus Accumbens

うつマウスの遺伝子治療をしている論文。じゃあこの方法で人間のうつも治療しましょうというのではなくて、メカニズムの一端が解明されたという感じなのだけれど。一応掲載誌であるScience Translational Medicineは基礎研究の知見を医療現場へ応用することを目指すトランスレーショナルリサーチ(「橋渡し研究」とも言われる)の雑誌です。


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うつのメカニズムは分かっていないことが多いけれど、神経伝達物質セロトニンのシグナル伝達が重要であると考えられていて、実際多くの抗うつ剤がセロトニンの濃度上昇に作用するものです。一方で、このセロトニンのシグナルを受けるにはセロトニンレセプターが細胞の表面に出ていないといけないのだけれども、2006年の論文Alterations in 5-HT1B Receptor Function by p11 in Depression-Like States によると、p11蛋白質がそのセロトニン局在に機能するらしい。


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今回の論文では、ウイルスベクター(AAV:アデノ随伴ウイルス)を使って脳へgene deliverlyしている。ちょっと根拠は見ていないけれど、側座核(nucleus accumbens)という領域に着目していて、RNAiノックダウンでここのp11発現量を落としている。このマウスはうつ様の症状を呈する。マウスモデルにおける抑うつ状態とは、尾懸垂や強制水泳における行動意欲を観ることで判定しているようだ。症状は抗うつ剤プロザックで治療できる。


肥満のコントロール

次は逆で、p11欠損マウスの側座核にp11をウイルスベクターで遺伝子導入。するとやはり抑うつ状態が治療できる。p11の機能不全はセロトニンレセプターの正常な局在を妨げ、セロトニンシグナルが上手く伝わらなくてうつになると。それを外からのp11の導入という遺伝子治療で治せるという仕事。論文では説の補強のために、亡くなった人からの側座核サンプルを調べて、うつ患者ではp11量が低下していることを示している。


今後の課題。全ての疾患モデル動物に言えることだけど、このうつモデルマウスが本当に人間のと同等と言っていいかをより詳細に見ていく必要がある。それとこれどうやって脳の特定の領域に届かせているのかと思ったら頭蓋骨に穴あけて入れてるようだ。物理的攻撃か。もう少しスマートな方法が無いとダメですね。

参照:Gene therapy helps depressed mice : Nature News




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